新参者
東野圭吾 :著
講談社
1,680円 (5%税込)
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加藤: |
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今回は、有隣堂きっての読書家のお2人をお招きして、今年後半に発売になったものの中から、おすすめのミステリーについてお話を伺おうと思います。
それでは、「POPの帝王」梅原潤一さんと「東野圭吾命」の佐伯敦子さんです!
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梅原: |
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はい、どうも。
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佐伯: |
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ミステリーについて話せるなんて嬉しいです! わくわく。
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加藤: |
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それでは早速佐伯さんからお伺いします。 下半期のミステリーの中からこれぞというものはありましたか? |
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佐伯: |
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それはもう、東野圭吾『新参者』に決まってるじゃないですかあ! |
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梅原: |
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ふふん。 |
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佐伯: |
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いやあ、何と言われようと、このミステリーは面白かった! さすがの東野圭吾です。 |
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加藤: |
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今年文庫になった『赤い指』と同じ加賀恭一郎シリーズですよね。
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佐伯: |
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はい。 今回は下町の人情がベースの「泣ける」東野です。 読後もほんわりさわやか。 ああ、読んでよかったと何度も思いました。
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加藤: |
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それは意外ですね。 東野圭吾は最近の刊行点数が多すぎて読むのが追いつけなくなっているのですが、これは読まねばなりませんね。 |
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佐伯: |
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もちろんです! これだけ書いて筆が落ちない東野はすごい! 梅原帝王にも是非ご一読いただきたい1冊です。
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加藤: |
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梅原さんの2009年ベストミステリーは?
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梅原: |
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貫井徳郎『後悔と真実の色』ですね。 |
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加藤: |
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ああ! ●●●の100倍、●●●●の200倍面白い警察小説だと仰っていたやつですね!
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梅原: |
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バカ! ここで言うな! |
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加藤: |
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すみません。 伏字にしますので。 そんなに面白いんですか? |
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梅原: |
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貸しただろ! まだ読んでないのか! |
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加藤: |
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ひぃ〜っ! 重ね重ね申し訳ございません〜。 |
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佐伯: |
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私は読みましたよ。 若い女性が襲われ、人差し指だけが切り取られる猟奇的な連続殺人事件。 ネット書き込みによる犯人からの予告。 怖いですよ〜。 それと平行して描かれる警察内部のおどろおどろした人間関係…。 |
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梅原: |
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それだよ、それ! 個性的な刑事たちによる地道な捜査が臨場感たっぷりに描かれる前半の堂々たる警察小説ぶりも見事だけど、驚きの展開を見せる後半がまたすごいんだ! |
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佐伯: |
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そうそう! 最後の展開なんて驚きまくりで、あれよあれよあれあれって感じで、面白かったですね〜。 |
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加藤: |
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むむむ…。 読んでいない私には何のことやら。 早く読んでお2人の話に参加したいです。 |
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梅原:; |
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貫井ファンは勿論、あらゆるミステリー好きを満足させるエンターテインメントの大傑作だぞ。 年末の諸々のベストミステリーで上位入賞しなけりゃ暴れてやる! |
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加藤: |
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ひぃ〜っ! |
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梅原: |
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1位じゃなきゃヤダ! |
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佐伯: |
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そんな、駄々っ子みたいな…。 加藤さんのベストミステリーは? |
球体の蛇
道尾秀介:著
角川書店
1,680円 (5%税込)
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加藤: |
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発売になったばかりの『球体の蛇』もまた素晴らしいですよ。 やり直しのきかない後悔がテーマで、純文学系の読者にもこの作品はうけると思います。
すごいですね。 新刊が出たら必ず押さえておかなくてはいけない作家ですね。
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梅原: |
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それを言うなら誉田哲也もそうだろう。 『ハング』は『ストロベリーナイト』で一躍ブレイクした著者の珍しく女っ気殆どなしの警察小説。 派手なバイオレンス描写と“日本を影で牛耳る巨悪を潰す”という設定がどこか大藪春彦を想起させる。
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佐伯: |
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誉田哲也の最新刊『インビジブル・レイン』は『ストロベリーナイト』の姫川シリーズ第4弾ですね。 是非『ハング』とあわせてお読みいただきたいですね。
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加藤: |
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そろそろこの辺でお開きにしたいと思いますが、何か言い残したことはありませんか?
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梅原: |
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人気作家の新作や賞を獲った新人のデビュー作ばかりに注目しないで中堅どころの実力派の人達にも目を向けて下さ〜い! あとですね当然のことながら面白いミステリーは今年発売されたものだけではないのです。 読んでいない膨大な量の旧作にも目を向けてください。 で、そういう埋もれた名作を掘り起こすのも我々の使命であるとも思っているわけです。 で、ひとつオススメ。 12月に双葉文庫から復刊される多島斗志之の『クリスマス黙示録』は子供を交通事故で殺され、復讐に燃える殺し屋とヘボ運転でその子供を殺した女のボディガードを勤める女性FBIの一騎打ちがスピィーディに描かれたリンカーン・ライムも裸足で逃げ出す最高に面白いサスペンスです! 皆さん是非読んでみてください!
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佐伯: |
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みなさ〜ん、“東野圭吾を読んで、ぐーんと幸せになりましょう! ”。
次の機会の本の泉の「東野圭吾特集」を楽しみにお待ちください!
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加藤: |
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梅原さん、佐伯さん、お忙しい中本当にありがとうございました!
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