| |
『ツアー1989』 |
| | 加藤: |
|
さて、最新刊『ツアー1989』です。
|
| 中村: |
|
新刊なので、まだ途中までしか読んでないんです。
|
| 加藤: |
|
1989年から1992年にかけてある旅行会社が企画した「迷子つきツアー」というのがあって、1989年の香港ツアーの最中、実際に1人の青年が消えてしまいます。
本書の舞台はそれから15年後の日本で、失踪した青年の恋文を受け取る主婦、一緒にツアーに参加していたサラリーマン、添乗員の女性らが当時を振り返るChapter1と、奇妙な縁で彼の恋文を預かることになった自称ノンフィクションライターがその青年を探し出すChapter2の2つの章で構成されています。
|
| 中村: |
|
Chapter1まで読みましたが、ずいぶん不思議な話のようで前作『イトウの恋』とは全く違う感じですね。
|
| 加藤: |
|
2004年の日本から1989年の日本を振り返る、という設定が本書のポイントなのではないかと思います。
|
| 中村: |
|
1989年と言えば昭和から平成に変わった年ですよね?
|
| 加藤: |
|
そうです。
この作品は、都市伝説的フシギ小説に見えて、実は昭和と平成の深い溝を描いている小説なのではないかと思います。
|
| 中村: |
|
そう考えると、このタイトルは意味深長ですね。
|
| 加藤: |
|
唐突かもしれませんが、私はChapter2を読んで矢作俊彦の『ららら科学の子』を思い出しました。
|
| 中村: |
|
それは「時」とか「時代」とかがテーマになるって事ですか?
|
| 加藤: |
|
はい。
『ららら科学の子』は数十年ぶりに中国から日本に帰国した主人公が母国のあまりの変容に衝撃を受ける話です。 それに対して本書は、15年間日本を離れた男が他国にいながらにして日本の変容を憂う話です。
どちらの作品も失われた時の重さを感じさせるという共通点があると思ったのですが。
|
| 中村: |
|
Chapter1を読んだ限りでは想像がつかないですね。
早く続きを読みたいです。
|
| 加藤: |
|
私の勝手な思い込みかもしれません。
ぜひ『ツアー1989』をお読みになった皆さんの感想を伺いたいです。
|
| |
|
|
| 〜最後に〜 |
| 加藤: |
|
いかがでしょう。
中島京子さんについて語り残したことはありませんか?
|
| 中村: |
|
中島京子さんに、「あなたのことを応援しているこんな熱狂的なファンがいるんです。
これからも頑張ってください」ってお伝えできれば嬉しいです。
|
| 加藤: |
|
私もファンとして同じ思いです。
今日はありがとうございました。
|