加藤: |
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今回はいつもと少し趣向を変えまして、有隣堂の中でも三度の飯より本が好きなメンバーに、秋の夜長におすすめのエンターテインメントを紹介していただこうと思います。
6人が熱く推薦する本の中に、皆様にもきっと気に入っていただける1冊があることと思います。
それでは、"有隣堂の斬り込み隊長"こと、ルミネエスト新宿店の安田信之さん、どうぞ! |
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図書館戦争
有川浩:著
(メディアワークス)
1,680円
図書館内乱
有川浩:著
(メディアワークス)
1,680円
レインツリーの国
有川浩:著
(新潮社)
1,260円
ふしぎの国の
安兵衛
荒木源:著
(小学館)
1,260円
僕たちの戦争
(双葉文庫)
荻原浩:著
(双葉社)
820円
その街の今は
柴崎友香:著
(新潮社)
1,260円
シンデレラ・ティ−ス
坂木司:著
(光文社)
1,575円
邪魅の雫
(講談社ノベルス)
京極夏彦:著
(講談社)
1,680円
晩夏に捧ぐ
(ミステリ・フロンティア)
大崎梢:著
(東京創元社)
1,575円
配達あかずきん
(ミステリ・フロンティア)
大崎梢:著
(東京創元社)
1,575円
愚者と愚者 上
打海文三:著
(角川書店)
1,575円
愚者と愚者 下
打海文三:著
(角川書店)
1,575円
金春屋ゴメス
西條奈加:著
(新潮社)
1,470円
芥子の花
西條奈加:著
(新潮社)
1,365円
※価格は全て5%税込です。
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安田: |
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どーもー、安田です。 エンタといえばラノベでしょ。 今日は、10月3日に新宿店に遊びに来た有川浩を大プッシュします。
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富澤: |
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質問です。 ラノベって何ですか?
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安田: |
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ライトノベル、略してラノベ! 有川浩はラノベ界の横山秀夫と激賞されているんだぞ。
特におすすめの銘柄は『図書館戦争』。
ロマンあふれるこの題だけでもご飯三杯いけるでしょう。 さらに続刊の『図書館内乱』でもシリーズ化決定。
まだまだ楽しめそうです。
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佐藤: |
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『図書館戦争』は「本の雑誌」でも今年度上半期ベスト1になっていますよね。
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安田: |
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そう。 これは次回本屋大賞有力候補ですね。 講談本の流れを汲む青春ラノベの傑作。
秋の夜長にどうぞ。
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加藤: |
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有川浩は、最新刊の『レインツリーの国』も良かったです!
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安田: |
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そうです。 バリバリの恋愛小説です。 本人いわく「飛び道具抜きの直球勝負」だそうです。
本当に自衛隊や警察が出てこない有川浩は初です。 読んではいけないトラウマライトノベル第一位のあの作品(絶版で安心)を小道具に新井素子バリの赤面恋愛小説です。
いわゆる一つのハッピーエンド? なので安心して読めます。
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加藤: |
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とても安田さんらしいコメント、ありがとうございました。 次は、アトレ目黒店の佐藤宏さん、いかがでしょう。
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佐藤: |
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私は、一風変わったエンターテインメントを紹介します。 荒木源『ふしぎの国の安兵衛』です。
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加藤: |
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面白いですよね! 江戸時代の侍が現代にタイムスリップするお話です。
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佐藤: |
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はい。 「男はやたらなことで泣かぬものじゃ」、「ならぬことはならぬと申さねば子供にはわかり申さぬ」など数々の名言で現在の常識に物申す、今までにない面白エンターテインメントです。
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小林: |
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荻原浩の『僕たちの戦争』に通じる面白さがありますよね。
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佐伯: |
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やっぱりタイムスリップものは面白いですね。
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佐藤: |
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この本を読み終わったとき、きっと誰もが「拙者、このような本に出会ったことはござらぬ、この上なく面白かったでござる」とつぶやくことでござろう。
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加藤: |
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御意。 そこもともなかなか面白い御仁でござるな。
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磯野: |
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ちょっとちょっと、なんで侍になってるんですか、2人とも。 次は僕に紹介させてください。
柴崎友香『その街の今は』です。
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佐伯: |
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それってエンターテインメントなんですか?
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加藤: |
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まあ良いではござらぬか。 ヨドバシAKIBA店の磯野真一郎殿、お続けくだされ。
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磯野: |
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この小説の主人公、歌ちゃんは、学校の授業で見た、大阪の街を空から撮った写真に惹かれて、大阪の街の昔の写真を集めるようになります。
歌ちゃんは「自分が今歩いているここを、昔も歩いていた人がおるっていうことを実感したい」と言います。 歴史を感じたいんじゃないかなぁ、と思いました。
昔の人がいた「あの時」があって、今の自分がいる「この時」があり、さらにどこかの誰かがいるであろう「この先」があり、で「この先」の人からみると今の自分がいる「この時」は「あの時」になり、という風に。 |
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小林: |
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なかなか詩的な小説ですね。
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磯野: |
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はい。 落ち着いた文章の中に、関西弁がいい具合に溶け込んでいて、今流行りの恋愛小説にはない新鮮な読後感があります。
休みの日にお気に入りの場所で、温かい紅茶でも飲みながら、ゆっくりじっくり読んでみてはいかがでしょうか。
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加藤: |
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神宮外苑の銀杏並木の下のベンチに座って読みたくなるような本ですね。 お話を伺っていて、しっとりとした気持ちになりました。
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小林: |
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私も、エンターテインメントとは少し違う小説を紹介してもいいですか?
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加藤: |
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川崎BE店の小林あゆみさん、お願いします。
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小林: |
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ちょっと暖かな気分になれる、坂木司さんの『シンデレラ・ティ−ス』を私はおすすめします。
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磯野:
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坂木司は僕も前から注目してました。 新刊はどういう内容なんですか?
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小林: |
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主人公の女子大生がひと夏の歯科クリニックでのアルバイトを通して出会う、小さなミステリーと、恋と、成長の物語です。
「青春恋愛小説は苦手」という方にもエンターテインメントとして是非お勧めしたかったのは、歯を通して解き明かされてゆく謎と、まっすぐに仕事に取り組む魅力的な登場人物達の姿です。
「歯科って怖い」と思ったことはありませんか?それは医学書にも載っている立派な病気なのだそうですよ? この本を読んだらきっと、食欲の秋を堪能するためにも虫歯をなおしてみようかな、という気持ちになるはずです。
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加藤: |
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歯医者…。 恐ろしい記憶しかありませんが、この本を読んだら見方が変わってくるかもしれませんね。
さて、次はバリバリのエンターテインメントをご紹介していただきましょう。 厚木店の佐伯敦子さん、お願いします。
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佐伯: |
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今秋の熱い話題と言えば、京極夏彦の『邪魅の雫』でしょう。
817ページ完読いたしました。
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富澤: |
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すご〜い。 どんな内容なんですか?
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佐伯: |
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昭和28年夏、江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように続々と毒殺死体が…。
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富澤: |
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すでに怖くなってきました。
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佐伯: |
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ふふふ。 「邪」という文字は、活字にするととても「邪悪」な感じがしますが、人の心の中には誰にも必ず「邪」な部分があって、それがだんだん広がっていく有様が京極夏彦の妖しい語り口で綴られます。
そして、最後の最後で、「えっ?」というようなラスト。 ここまで読んでいきなり突き落とす、けれどここまで読まなければ、ここだけ読んでもわからない、これが京極夏彦という一見派手な立ち回りの、根強い熱狂的なファンを持つ人気作家の底力かと思いました。
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加藤: |
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実は私、京極夏彦は食わず嫌いなのですが、佐伯さんのお話を伺っていると、ものすごく読みたくなってきますね。
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佐伯: |
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ありがとうございます。 この勢いでもう1冊紹介してもいいですか? 大崎梢の『晩夏に捧ぐ』をおすすめします。
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安田: |
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おおっ。 『配達あかずきん』の第2弾ですねー。
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佐伯: |
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そうです。 長野を舞台に移し、老舗書店の幽霊騒ぎを迷? 探偵書店員コンビが解決していくというストーリーです。
ミステリーとしては、ライトでほのぼのとしていますが、本屋さん大好き、本屋さんっていいな、面白そうだな、勤めてみたいなと思っている方は必読。
"元書店員が書いた本" と偏見を持たず、普通に読んでも面白い一冊なので、秋の長い夜には、前作と併せてお薦めの一品です。
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加藤: |
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今秋は、『図書館内乱』にしろ『晩夏に捧ぐ』にしろ、続編が粒ぞろいですよね。 打海文三の『愚者と愚者 上・下』とか。
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富澤: |
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『金春屋ゴメス』第2弾の『芥子の花』もそうですよね。
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加藤: |
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ゴメス! いいですよね! 日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。 本当にこの賞の受賞作にハズレはないですね。
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小林: |
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で、その「こんぱるやゴメス」って一体なんですか? 西口店の富澤明子さん。
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富澤: |
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金春が場所の名前であり、組織の通称。 屋号みたいなもんです。 で、ゴメスがその金春のボス。
この『金春屋ゴメス』は設定がすごい。 現代の日本の中に作られた「江戸国」という国が舞台になってます。 だから話の中には、時代劇では反則ワザでも通用しちゃう場面があったり。
第1巻は、江戸国で発生した流行病「鬼赤痢」の原因究明を軸にしながらも、金春で繰り広げられるドタバタが愉快です。 続編の『芥子の花』には、新メンバーも加わって、さらに面白いことになってます。
3巻早く出ないかなー。
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加藤 |
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新メンバーと言えば、今回登場していただいた小林あゆみさんと富澤明子さんは、今期から読書推進委員になった新メンバーです。
お話を伺っていて、お2人の熱心な読書ぶりが伝わってきました。 磯野さん、佐伯さん、佐藤さん、安田さんには「本の泉の愉快な仲間たち」として、今後も不定期ではありますが本を紹介していただく予定でおります。
読者の皆様、これからも「本の泉」にどうぞご期待ください! |
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