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第21回 2007年3月8日 |
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伊坂幸太郎特集 | ||||||||
今回の「本の泉」では、有隣堂伊坂幸太郎クラブ(非公認)の声をお届けいたします。 書店員に最も愛されていると言われている作家、伊坂幸太郎のマイベスト1を各部員が選び、熱く語ります。 それでは刊行順にご紹介してまいりましょう。 | ||||||||||
オーデュボンの祈り (新潮文庫) 新潮社・660円 (5%税込) |
『オーデュボンの祈り』
(2000年12月) 私はこの本を読み終え、伊坂幸太郎という人物に心底震えた。 無機質な中に内包される狂気と苦痛。 荒削りな分、伊坂幸太郎の「底」がよく見える。 伊坂氏が作家という道をたどったのも、神様のレシピなのだろう。 (ルミネ横浜店 羽生斉彬) ※B6版は絶版のためご注文いただけません。 | |||||||||
ラッシュライフ (新潮文庫) 新潮社・660円 (5%税込) ラッシュライフ (B6版) 新潮社・1,785円 (5%税込) |
『ラッシュライフ』
(2002年7月) 先が気になって仕方がなく、ワクワクしながら読みました。 一見バラバラのように見える物語が、最後に一つの物語になるのはお見事! 「伊坂作品ならでは」がたくさん詰まった一冊です。 ぜひ一気読みで! (アトレ恵比寿店 宮野徳子) 伊坂ファン歴は長くない。 けれど一冊だけ選ぼうというのなら、『ラッシュライフ』を推したい。 エッシャーの騙し絵が物語の土台なのだが、この作品に限らず伊坂作品全体の雰囲気がエッシャーの描く終わらない螺旋のような気がする。 個人的に伊坂ワールド常連の「黒澤」が好きなのだが、彼の魅力が存分に発揮されているのも嬉しい。 これを読んでから『重力ピエロ』や『フィッシュストーリー』に移って欲しいと思う。 (ルミネ横浜店 伊藤最) | |||||||||
陽気なギャングが 地球を回す (祥伝社文庫) 祥伝社・660円 (5%税込) 陽気なギャングが 地球を回す(新書版) 祥伝社・880円 (5%税込) |
『陽気なギャングが地球を回す』
(2003年2月) 伊坂といったら横浜では「陽気なギャング」シリーズでしょ。 映画でも危ない刑事張りに赤レンガ周辺を爆走したシーンも忘れられませんね。 身内に横浜で働いている人が居るだけあり横浜の空気が感じられるフラットな作品に仕上がっていてお薦めかも。 (戸塚モディ店 安田信之) 4分間で実に鮮やかに銀行強盗をやってのける仲間たち。 それぞれに強烈な個性と特技を持っていて、そのバランスがたまらなく心地よい作品です。 最後のひとひねり、ふたひねりされているオチもとっても面白いです。 (書籍外商第一課 矢部久美子) | |||||||||
重力ピエロ (新潮文庫) 新潮社・660円 (5%税込) 重力ピエロ (B6版) 新潮社・1,575円 (5%税込) |
『重力ピエロ』
(2003年4月) 青春小説でありミステリーでもあり、緻密に計算された物語の構成力は抜群。 軽妙な展開の中、次第に重いテーマが浮かび上がって来る。 「家族とは何か」「罪と赦しとは」「生きて行くということは」−−。 もっとも勢いのある初期の代表作。 (第二営業本部 中村努) 放火、レイプ、父親の病気等重くなりがちなテーマを暗く感じさせないように読ませているのはすごい。 ぐいぐいと引き込まれるような派手さはないがなんと言っても文章が魅力的です。 登場人物の性格や感情表現も見事。 しばらく伊坂ワールドにはまりそうです。 (ランドマークプラザ店 大嶋慶子) 一冊と言われるとやっぱり『重力ピエロ』かな。 父親殺しに象徴される神話的テーマが、伊坂ワールドの中でポップに展開されていて読後感も爽快。 たった今仙台から帰ってきましたが、そういえば仙台の街もさわやかで洗練されていますよね。 この街なくして伊坂幸太郎は生まれなかったと感じた次第です。 横浜はやっぱり矢作俊彦かな。 (第一営業本部 中村豊) | |||||||||
チルドレン 講談社 1,575円 (5%税込) |
『チルドレン』
(2004年5月) 何度読んでも、陣内の強烈なキャラに思わず、「いいぞ! 」と拍手したくなる。 ハチャメチャだけど、とことん優しい。 そして、思いきり笑えます。 黒ラブのベスもいい。 私の伊坂ヴェリイ‐ベストは、やはり、『チルドレン』! (厚木店 佐伯敦子) 雨が降っていようが槍が降っていようが、この本を読んだ後に空を見上げれば必ず青空が広がっている、そんな錯覚を起こさせてくれる1冊です。 ホント、なんなんだろう、この異様なまでに清々しい読後感は! 私にとってのヴェリヴェリベストも『チルドレン』! (藤沢店 加藤泉) 何年か前に一度だけしか読んでいないのですが、『チルドレン』を読み終わった後の爽快な感じが忘れられません。 本気でこんな友人が欲しいと思う程、主人公の陣内が格好良いです。 (ルミネ横浜店 M・K) 伊坂幸太郎の全ての作品に共通するのだが、『チルドレン』の魅力はキャラクターだ。 特に「陣内」という人物に注目してもらいたい。 「響野」「黒澤」「河崎」「西嶋」など、伊坂幸太郎の作品には魅力的なキャラクターはたくさんいるが、僕は「陣内」が一番のお気に入りだ。 (ルミネ横浜店 寺田辰也) | |||||||||
死神の精度 文藝春秋 1,500円 (5%税込) |
『死神の精度』
(2005年6月) 死神・千葉氏のクールなのに、ズレている所が面白い。 また、六つの短編それぞれに、ミステリーや恋愛といったスパイスが効いていて、いろいろな味が楽しめます。 そして、ラストが素晴らしくちょっぴり泣きたくなります。 (厚木店 岩堀華江) シニカルだけど優しい死神が主人公の,おはなしです.ひとつずつのおはなしは,独立しているのですが,最後に一つにまとまって,とってもさわやかな気持ちになりました.読後感はチョコミントを食べたみたいです。 (アトレ恵比寿店 内山直子) 私は『死神の精度』を挙げます。 主人公の死神の雰囲気も好きですが、何と言っても各章の終わり方。 最後まで話を書ききっていませんが、それが絶妙。 「伊坂節」も健在。 そして最後に「そう来るか」と膝をうつ、そんな小説なのです。 (小田原ラスカ店 佐藤真) | |||||||||
砂漠 実業之日本社 1,600円 (5%税込) |
『砂漠』
(2005年12月) 現実とファンタジーが程良く融和したリアルSFな設定が巧みなキャラ描写により恐るべき説得力を持ち読者を圧倒する素敵作品。 イチ押しキャラはスプーキー・ファット・西嶋、文句無しにカッコ可愛いです。 最初の頃は少し青臭く思えた主人公達のアツい発言やナナメに構えた思考も、成長し大円団を迎える頃には愛おしくなり、仮想青春を共にした時間を振り返るとノスタルジィを覚えます。 (ルミネ横浜店 佐々木章子) 「その 中 ロン! 」あまりにも、くだらなさすぎるけど、それで本当に元気が出ることがある。 本気で仲間のためにやっているから…。 どの本もそうだけど、本当に気持ちの良くなる一冊です。 (書籍外商第一課 東敏生) | |||||||||
陽気なギャングの 日常と襲撃 (NON NOVEL) 祥伝社 ・880円 (5%税込) |
『陽気なギャングの日常と襲撃』
(2006年5月) 伊坂版ルパン三世ここに完成!! 映画になった『陽気なギャングが地球を回す』の続編にあたるこの作品。 テンポのよさはそのままに、おなじみのメンバーが更にパワーアップ! 今回の敵は違法カジノ経営者!? できることなら前作から読んで欲しい、「21世紀型ルパン三世」の誕生です!! (ヨドバシAKIBA店 磯野真一郎) | |||||||||
文・読書推進委員 加藤泉
構成・宣伝課 矢島真理子 |
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