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第25回 2007年4月27日 |
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ノンフィクションライター・最相葉月と 新刊『星新一 一〇〇一話をつくった人』の魅力 |
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はじめに |
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加藤: |
今回は「本の泉」史上初、作家の方にゲスト出演していただくことになりました。 新刊『星新一
一〇〇一話をつくった人』を出されたばかりの最相葉月さんです。 |
星新一 一〇〇一話をつくった人 新潮社・2,415円 (5%税込) |
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最相: | こんにちは。 今日は有隣堂「本の泉」にお招きいただきましてどうもありがとうございます。
書店様のインタビューを受けるのは初めてなので非常に緊張しています。 |
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加藤: | 本来なら「最相先生」とお呼びするべきなのですが、私にとっては"一緒に野球を観に行った最相さん"というイメージが強いので、「最相さん」とお呼びしてもよいでしょうか?
野球の件については後ほど触れますが。 |
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最相: | もちろんです。 私は先生ではないので、どうか普通に「さん」付けで呼んでください。 |
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加藤: | 新刊が発売になったばかりで、数々の取材を受けていらっしゃることと思いますが、今回は作家と一ファンの懇親イベント、言うなればファン感謝デーのようなものだと思って気軽にお答えください。
私の方からご登場をお願いしておいて、ファン感謝デーもないだろう、とは思いますが。 |
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最相: | いえいえ、私は自分のファンという方にほとんどお会いしたことがないので光栄です。
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新刊『星新一
一〇〇一話をつくった人』について |
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加藤: | 早速ですが、新刊についてお話を伺いたいと思います。 発売と同時に拝読いたしましたが、563ページ一気読みに近かったです。
本当に面白かったです! |
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最相: | ありがとうございます。 そういっていただけると本当に嬉しいです。
あれだけ分厚くて重い本なのに、一気読みしてくださったとはすごいですね。 |
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加藤: | 正直に言うと最初はあの厚さに腰が引けたのですが、読み進めるうちにぐいぐいと引き込まれて止まりませんでした。
最相さんは実際に星新一の1001編を読まれたと伺いましたが、個人的に一番お好きなショートショートはどれでしょう? |
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最相: | どれか一つをあげるのは非常にむずかしいです。 その日の気分によって感じ方も違いますし、子供のころに読んでおもしろかったものが、今も同じように楽しめるかといえばそうではない。
「殉教」や「門のある家」のように、大人になってからでなければ理解できないようなむずかしいショートショートもあります。 晩年に書かれた「はじまりの物語」や「夢20夜」は数年前に初めて読んで、星新一はこんな俳句や寓話のような作品も書いていたのかとびっくりしました。
評伝を書くにあたっては1001編、実際にはそれ以上の星さんのショートショートやエッセイを下書きも含めて読んできましたが、星新一のショートショートとは、星さんが全生涯をかけて書き上げた一冊の壮大な本だったのではないかという気がしています。 |
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加藤: | なるほど。 私も『星新一』を読んだ後に、星作品を数編ですが読み返しましたが、以前読んだ時とは胸に迫ってくるものがまるで違いました。
星新一が背負っていたものを知ってしまった後では、悲しみや空しさをどうしても感じてしまいます。 |
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最相: | 作品は本来、作品単体で読まれるべきものだと思います。
作家の人生など知りたくないという人がいても当然でしょう。 とくに星新一については、自分のイメージを壊されたくないという方が多いかもしれません。
でも、作家の生きた時代を知り、人生を知ることによってより深くその作品世界に近づくことができるのではないか。 そんな読み方も読書の楽しみのひとつだと思いますし、だからこそ評伝文学の歴史があるのでしょう。
今回、星さんが小学二年のときに横浜港で父親を見送った様子を描いた「お父様の洋行」という作文をご紹介していますが、あのようなまっすぐなまなざしがあったからこそ、星新一のショートショートが生まれたのではないかと思ってしまいますね。 |
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加藤: | 『星新一』の前半で、父親の星一(ほしはじめ)についてかなりページを割いて書いていらっしゃいますね。
やはりこの人なくして作家星新一は誕生しなかったと思われますか。 |
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最相: | そう思いますね。 星さんは、生涯に三冊、親族の伝記を書いています。
医学博士だった祖父を描いた『祖父・小金井良精の記 (上・下)』と、大正時代の巨大企業である星製薬の創業者だった父、星一の壮年期を描いた『人民は弱し官吏は強し』、青春時代を描いた『明治父アメリカ』です。
1001編を書き上げたあとには、星一の晩年も書きたいと周囲にもらしていたそうです。 作家とはいえ、これは異様なことだとは思いませんか。
なぜそれほど親族、とくに父親に執着したのか。 星一の逝去後、星製薬を継ぎ、その後の会社整理でことごとく人に裏切られ、挙げ句には会社を人手に渡します。
この間の苦労については星さん自身も随筆で少しはふれていますが、具体的なことは何もわからなかった。 今回、当時を知る関係者や遺族の証言を得て、それを裏付ける資料も発見したのですが、知れば知るほど、星さんは人生のチャンネルを切り換えて作家として生まれ変わったんだなと思いました。 |
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加藤: | 父親から譲り受けた負の遺産にばかり目が行ってしまいそうでしたが、「人間の思考は光より速い」と一が新一に諭すエピソード(P58)などを読んで、とても温かい気持ちになりました。
いい意味でも父親は新一にとって大きな存在だったのだな、と。 |
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最相: | 星一を知る人たちは、みなさん、星さんはお父さんにそっくりだったとおっしゃいます。
それは一言でいうと、アイデアの人であったということ。 商品の開発にしても、ショートショートにしても、人をあっといわせる斬新な発想を必要とする点で共通するものがあります。
人とは違う角度から物事を見ることによって新たな発見が生まれる。 星さんが父親から学んだことは甚大だったと思います。 |
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加藤: | それにしても、星新一という人はとてもエキセントリックな人だったようですね。 最も印象的だったのは、「鉄腕アトム」のアニメ用の原作を考えてほしいと言われた新一の第一声が「アトムとウランちゃんの近親相姦ビデオを作ったらどうかな。 合わせて二十万馬力だ」というエピソード(P311)で、絶句した数秒後にブッと吹き出してしまいました。 |
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最相: | アトムとウランちゃんの話は、SF作家仲間やファンの間で語り継がれているよく知られたエピソードで、この本にはそんな有名な話もいくつか書かせていただいていますが、一方で、自分の小説を理解し、大切に思ってくれているごく限られた編集者や友人にしか打ち明けなかった話もありました。
取材をしていて印象的だったのは、星さんって、相手によって自分のキャラクターを使い分けていたんじゃないかなということでした。 SF作家仲間と一緒にいるときが楽しかったのはたしかで、だからこそあれだけ奇矯な発言も飛び出したわけですが、家族にはそんな顔は一切見せなかったのです。 |
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加藤: | 常人にはちょっと思いつかないようなブラックユーモアの持ち主ですね。 |
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最相: | 実は、あまりにもブラックで危なくて、本に書けなかった話も結構あるんですよ。
自分が発した一言で、周囲の空気が一変するのがおもしろくてしかたなかったんでしょうね。 |
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加藤: | 星新一の魅力もさることながら、日本にSF小説を広めようとした人たちの情熱も本書を読んでいるとひしひしと伝わってきます。
仲間内の確執なども、それだけSFに情熱を捧げていることの表れだと思いました。 |
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最相: | ひっついたり離れたり、揺籃期ならではのせわしさと熱気で、なんともうらやましい活き活きとした時代だったんだなと思いましたね。
星新一を書くことは、日本のSF史を書くことだと気づいた日は、これは恐ろしいことを始めてしまったと思ってなかなか眠れませんでした。 |
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加藤: | 星新一についてこれまで本格的な評伝が書かれなかったのが不思議ですが、当時の文壇を取り巻く環境がそうさせたのだとも言えそうですね。 |
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最相: | 今回、文芸評論家の方が書かれた文学史の本をいくつか読みましたが、SFに言及したものは皆無か、あってもすみっこに追いやられて、費やされるページ数もほかの作家たちに比べると不当に少ないんですね。
あれほど多くの読者を獲得したにもかかわらず、です。 今年は星新一のデビュー50年ですが、それは日本にSFが誕生して半世紀が経ったことでもあります。
改めて戦後日本に誕生したSF文学を再評価する動きが出てきてほしいと思います。 |
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加藤: | 「なんでぼくには直木賞をくれなかったんだろうなあ」という新一のセリフが印象的でした。
いわゆる文壇になかなか評価されない作家は、今もそしてこれからもいると思うんです。 ただ、私は記録に残る作家よりも記憶に残る作家のほうが幸せなのではないかと本書を読んでつくづく思いました。
自分の評伝を並々ならぬ熱意で書いてくれるノンフィクション作家がいて、没後10年にその本が書店の店頭を賑わすような作家のほうが。 作家の側からしたらせつない話かもしれませんが。 |
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最相: | 中学生のころに熱中したのに、25年間も忘れていたんです。
あんなに好きだったのに、どうして自分は星さんのショートショートを忘れてしまっていたのか。 星新一は読書の喜びを一番最初に教えてくれた作家だったはずなのに、読者ってなんて残酷なのかと思いました。
ただ、忘れてしまったはずなのに、「星新一」という名前を聞いた瞬間、かすかに自分の胸に残るかけらがあることに気づいた。 それが何なのか知りたい。
そんな思いから評伝を書いたわけですが、これをきっかけに自分自身の星新一体験を思い出して、もう一度ショートショートを読み直してくださったなら嬉しく思います。 |
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最相葉月・これまでの仕事 |
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加藤: | さて、ここからは最相さんご自身がこれまでに書かれてきたものについてお話を伺いたいと思います。
私が最相さんの著作を初めて拝読したのは『東京大学応援部物語』でした。
学生時代に応援部に所属していたもので、この本を読んだら居ても立ってもいられなくなって、最相さんにファンレターのようなメールを出してしまったんですよね。
そうしたら、一緒に学生野球を観戦に行きましょう、ということになって。 もう3年前のことです。 |
東京大学応援部物語 集英社・1,575円 (5%税込) |
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最相: | あのメールをいただいたときは本当に嬉しかったです。 私はテーマごとに読者が変わるので、小説家の方のようには自分の読者層がわからないというか、実感できないんです。
だから、一冊出すごとに返ってくる読者の声がとても励みになります。 加藤さんはしばらく神宮の六大学野球を観戦していないということだったので、ついついお誘いしてしまいました。
私は毎シーズン出かけますからね。 今春も斎藤祐樹投手のデビュー戦からさっそく盛り上がっていますよ。 |
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加藤: | あの時は本当に楽しくて、実は私もあれ以来毎シーズン東大戦は観に行っているんです。
最相さんと一緒に応援したときに楽しませてくれた1年生が去年引退したときは寂しくて。 ところで、この3年の間に最相さんの著作はほぼ全て読んだのですが、『絶対音感』だったり『青いバラ』だったり、それぞれ扱っているテーマがバラバラで、驚きの連続でした。 |
絶対音感 (新潮文庫) 新潮社・620円 (5%税込) |
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最相: | 自分では一貫性があって有機的につながっているつもりなのですが、テーマだけご覧になるとそう見えるかもしれませんね。
20代のころ企業PR誌やベネッセ教育研究所の『子ども学』といって学際的な視野から子どもを研究する学術誌の編集者をしていましたので、物事を多角的に見る訓練はしてきました。
どんなテーマを採り上げるにしても、常に自分の見方を疑ってみますし、何かを決めつけるような物言いはできるだけしたくない。 あいまいだったり、つかみどころがないのが人間であり社会であると思いますから。 |
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加藤: | 私は最相さんの書かれたものを読むまで、たとえば遺伝子組み換えのニュースを見たりしても、ふーん、ぐらいにしか思っていなかったのですが、今では生命科学の分野に少なからず問題意識を持つようになりました。
それというのも『東京大学応援部物語』を読んだことがきっかけだったと思うと、感慨深いものがあります(笑)。 |
青いバラ (新潮文庫) 新潮社・820円 (5%税込) |
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最相: | それはよかったです。 私はどうも、自分が興味をもった、というか、違和感を覚えたことにはとことんこだわるようです。
生命科学については、生殖医療や再生医療の分野ですでにご承知のとおり、私たちの日常に徐々に影響を与えていますね。 ニュース性のあるものを先んじて報じるような仕事はあまり得意ではないのですが、知らず知らずのうちに別のステージに立たされている、気がついたらこんな事態になっていた、といったケースに対しては慎重でありたいし、自分の目で確かめながらできるだけ言葉にしていきたいと思っています。 |
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最相葉月・これからの仕事 |
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加藤: | 3月で朝日新聞の書評委員を終了なさいましたね。 毎週最相さんの書評が載っているかなぁと楽しみにしていました。
三浦しをんの『風が強く吹いている』の書評を読んだ時は、この本絶対読まなきゃ!と思いました。 |
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最相: | 書評委員は3年間つとめさせていただきましたが、ノンフィクションかサイエンスの本を中心に取り上げていましたので、たまに小説を書評できると楽しかったですね。
『風が強く吹いている』は本当におもしろかったです。 それこそ一気読みで、こんな設定ありえないと思いつつも知らないうちに引き込まれてしまった。
本を読んでいて、幸せだなあと思えた時間でしたね。 |
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加藤: | はい。 去年あの小説と出会えて本当によかったと思っているのですが、あの本に出会えたのも最相さんの書評のおかげでした。
今後、どこかの媒体で最相さんの書評を読むことはできるのでしょうか? |
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最相: | ご依頼があれば可能な限りどこにでも書かせていただきます。
人の本を読むことは、自分が書くにおいてもとても勉強になります。 自分には到底無理だなあと圧倒されるときもあるし、もし自分が同じテーマで書いたらどんなふうに書くだろうか、これはもっとこういう書き方ができるんじゃないかと思うこともある。
最近はブログやネット書店のレビューコーナーでどんな方でも自由に感想を書いて公開できるようになりましたが、新聞や雑誌のように読者数の多いメディアで書評を書くことはやはりそれだけ責任を伴います。
時間が許す限り、その作家のほかの作品も何冊か読んでみますし、同じテーマで別の本が出ていたらそれも読んでみる。 時間はかかりますが、好きな仕事です。
この春からは国際交流基金という外務省の外郭団体で、日本の書籍を海外に紹介する新聞の編集委員を務めることになりましたので、新刊書にはこれからも目配りして書評も書かせていただくことになると思います。 |
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加藤: | 私は最相さんの書かれたものを読んでいると、視野の広さや取材対象への深い愛情にいつも驚かされるんです。
最相さんがお仕事をなさっている上で、これだけは守っている信条のようなものはおありですか? |
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最相: | むずかしいですね。 ひとつだけいえるのは、私は自分が書きたいと思ったことしか書けない不器用な人間であるということです。
だから、これはと思ったごく限られたテーマにはのめりこむ。 集中力はあるほうだと思います。 だからといってひとりよがりになってはだめですよね。
ノンフィクションは取材させていただく相手があってこそ成立するものですから、書くほうも書かれるほうも相当の覚悟が必要です。 そのような関係性をどうすれば築けるか、いつも試行錯誤の連続です。 |
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加藤: | 新刊を出されたばかりで恐縮なのですが、次回作のご予定などは? |
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最相: | それは、一番こわい質問です(笑)。 テーマはまだなんとも申し上げられないのですが、星さんの評伝と同時進行で取材してきたことは複数あります。
どれが次に作品化されるかはわかりませんが、忘れないで待っていてくださいとしかいいようがありません。 ノンフィクションはお金と時間がかかる仕事ですので、読者の方に支えていていただかなければ絶滅してしまうでしょう。
どうかこれからもよろしくお願いいたします。 |
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加藤: | 最相さんの書かれたものを1冊でも読んだ読者は、最相さんのことを忘れるはずはないと思います。 今回はお話を伺えて本当に良かったです。 お忙しい中、本当にありがとうございました! | ||||||||||||
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