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対抗・荻原浩 『愛しの座敷わらし』 (朝日新聞出版)
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悠木: |
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荻原浩も3回目のノミネートです。
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平尾: |
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そろそろかもな。
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野口: |
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でも、この作品で受賞したら疑問の声もあがるのでは?
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平尾: |
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それは今までにもよくあったことじゃないか。 宮部みゆきだって『火車』ではなく『理由』で、桐野夏生だって『OUT』ではなくて『柔らかな頬』で受賞してるからな。
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野口: |
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荻原浩のこれまでの最高傑作と言われている『明日の記憶』は候補にさえならなかったですからね。
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悠木: |
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今回候補になった『愛しの座敷わらし』は、東京から田舎に異動になったサラリーマンが購入した田舎の一軒家に座敷わらしが住みついていた、という話です。
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平尾: |
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この、父親のパートが効いているよな。 荻原浩はサラリーマンの悲哀を描かせると本当に巧いな。
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野口: |
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はい。 それに、私は座敷わらしって何なのかよく知らなかったのですが、この本を読んで、ああ、そういうものなのか、って分かりました。 悲しいですね。
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平尾: |
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座敷わらしとは何か、童謡「しゃぼん玉」の歌詞に合わせて明かされるくだりは良かったよな。
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悠木: |
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老若男女楽しめる作品ですね。
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野口: |
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前回受賞した『私の男』とは真逆です。
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