秋月記
葉室麟:著
角川書店
1,785円 (5%税込)
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本命・葉室麟 『秋月記』(角川書店)
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平尾: |
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おいおい、本命は北村薫じゃないのか?
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野口: |
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今回は版元関係なしに作品だけで決めさせてください。 これでハズれても悔いはありません! |
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平尾: |
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どうしたんだよお。 やけに力が入ってるじゃないかよお。 |
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野口: |
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だって、本当にいい作品なんですよ、『秋月記』。 今年のベストワンと言っても過言ではありません。
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悠木: |
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野口がここまで時代小説を推すのは珍しいですね。 葉室麟は前回も『いのちなりけり』で候補になっていますが、確かに作品の質は段違いに良くなっています。
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平尾: |
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そうだな。 『いのちなりけり』は話が入り組んでいて誰が誰だか途中からよく分からなくなったけど、この『秋月記』はすっきり整理されている気がしたな。 |
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悠木: |
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ただ、ひとつ懸念されるのが、先日行われた山本周五郎賞の選考で、選考委員の浅田次郎先生が『秋月記』に対して辛い評価を付けていることなんですよね。 浅田先生は直木賞の選考委員にもなっていますからね。 『秋月記』の受賞は難しいかもしれないな、野口。
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野口: |
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ちょっとユーハイムまで行ってきます! |
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平尾: |
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どうしてだ? |
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野口: |
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浅田次郎先生のお好きなフランクフルタークランツというお菓子をお送りしてきます! |
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平尾: |
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おまえが袖の下を贈っても何にもならないと思うぞ。 |
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大穴・万城目学 『プリンセス・トヨトミ』(文藝春秋)
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悠木: |
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万城目学は2度目の候補です。 |
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平尾: |
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『鹿男あをによし』が候補になった時の選評は酷かったな。
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野口: |
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はい。 鹿が喋る時点でもう受け容れられなかったんでしょうね。
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平尾: |
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戻ってきたな、野口。 ちゃんと贈れたのか?ケーキは。 |
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野口: |
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それが…、よく考えたら浅田次郎先生の住所を知らなかったんですよね。 テヘッ!
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悠木: |
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うん、贈らなくて正解だと思うよ。 大穴は万城目学でいいか? |
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野口: |
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異議なしです!豊臣秀吉の末裔が今も大阪に暮らしている、というお話ですね。 ロマンがあっていいじゃないですか。
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平尾: |
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そうか。 わしはどうも万城目学は合わないな。 何だかさっぱり分からなかった。 |
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悠木: |
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そこなんですよ。 平尾さんと同年代の選考委員の先生方がどこまで万城目ワールドに耐えられるかが焦点になってくると思います。 |