|
加藤: |
|
今回は「本の泉」初のこころみとして、編集者の方を対談のお相手にお招きしています。 講談社文庫出版部の新町真弓さんです。
|
|
新町: |
|
どうぞよろしくお願いいたします。 このコーナーはいつも楽しみに拝見してます。 本への愛情に溢れていて、面白くて、大好きです。 私ごときが登場していいのか……と恐縮してしまいますが、田辺さんの作品をご紹介させていただけると伺って、それなら! とドキドキしながら参りました。
|
|
加藤: |
|
ありがとうございます!こちらこそよろしくお願いします。
最初に、新町さんがこれまでなされてきたお仕事をざっとご紹介していただけますか?
|
|
新町: |
|
私が文庫出版部に異動になったのは2007年です。 それまではずっと雑誌の編集をしていました。 最初に配属されたのが「FRIDAY」。 そこに6年在籍して、2000年から女性誌の「FRaU」におりました。
育児休職を経て文庫に異動してから、今は田辺聖子さん、折原みとさん、井上夢人さん、舞城王太郎さんなど幅広いジャンルの方々とお仕事をさせていただいています。
|
|
加藤: |
|
新町さんの数々のお仕事の中でも、今回は田辺聖子さんの作品について語っていただきたいと思います。
傑作恋愛小説と名高い「言い寄る」三部作(『言い寄る』『私的生活』『苺をつぶしながら』)を講談社さんが2007年に復刊され、かなり話題になったことを記憶しています。 新町さんの直接のお仕事ではないかもしれませんが、この復刊の流れについてご存知のことを教えていただけますか?
|
|
新町: |
|
これは講談社百周年企画で部署を超えて小説の企画を出すというものがあり、そこに応募したデザート編集部の緑川という者が出した企画です。 彼女は20年以上前から田辺さんのファンでもあり、こういう作品を世に出したいと編集者を目指したのですね。 『私的生活』『苺をつぶしながら』は弊社の文庫にありましたが、まずは「乃里子三部作(主人公の名前を取ってこう呼ばれています)」をまとめて出したいと。
「乃里子三部作」のうち『言い寄る』はもともと文藝春秋さんから刊行されていたのですが絶版になっていて、集英社さんが2004年から刊行した田辺聖子全集でしか読むことができなくなっていました。 田辺さんも快くご了承くださり、集英社さんにもご協力いただいて、社を超えた復刻版が実現したのです。
|
|
加藤: |
|
なるほど。 1人の編集者の方の情熱から生まれた企画だったんですね。
|